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選挙費用負担の「選挙公営」制度に注目! 水増し請求がないか チェック強化

選挙に金がかかりすぎて候補者の財力によって不公平が生じないように、ポスター代や選挙カーの燃料費など選挙運動費用の一部を自治体が負担する「選挙公営」という制度があります。県内では知事選や徳島市長選のほか県議選や徳島市議選に適用されています。条例で限度額を定めていますが、実費請求が原則、限度額を超えた額は候補者が負担します。県議選の場合、選挙区によって限度額が違いますが、制度上、実費であることを裏付ける書類の添付がいらないため、中には実際にかかった費用を上回って限度額いっぱいを請求する候補者もいるのでは、という疑念があります。不正、税金のむだ使いを根絶するためには、領収書添付など制度の改善が必要ではないでしょうか。当会では、政務活動費と同様に、各候補者から提出された書類を精査し、不正根絶に向けて目を光らせていくことにしています。

「選挙公営」で負担されるのは選挙の種類によって異なりますが、掲示板に貼る選挙運動用ポスターの作成費のほか、選挙運動用自動車の借入費やガソリン代、運転手雇用費などで、限度額に加え、使途も厳格に決められています。県議選の場合、自動車の借入費が1日15,300円、燃料費は17,350円と定められています。ポスター代は、選挙区によって異なりますが、最高額の徳島選挙区は848枚で上限は1037104円。最低の三好第2区では150枚で68400円となっています。

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手続ききは、候補者が業者との契約書の写しを添えて、「自動車使用届出書」又は「ポスター作成届出書」を県選挙管理委員会に提出して、「確認書」を受け取り、「自動車の使用証明書」や「ポスター作成証明書」を作成。証明書を受け取った業者は、選挙後に「確認書」に証明書を添えて県に請求書を提出するだけでいいのです。見積書や納品書、内訳明細書、売上台帳等の写しなどの提出は必要ありません。

平成234410日に行われた県議選のポスターの請求額を例にとってみると、公費負担を受けた候補者は59人、作成業者は46社でした。このうち限度額満額を請求した候補者は29人、21社。小松島・勝浦、鳴門両選挙区では候補者同士が申し合わせをして限度額満額を請求しているように見受けられます。ガソリン代は、阿南選挙区の候補者が最も多く、限度額満額(7,350円×9日=66,150円)を請求しています。その候補者は、ホンダのCR-V車(スポーツ用多目的車)を使用したとしていますが、メーカーによると1㍑当たりの燃費は約12㌔。このことから換算すると1日約500㌔以上走行したことになります。選挙運動をしながら果たして500㌔以上も走行できるのでしょうか。判断は読者の皆様にお任せしますが、疑念を抱かざるを得ません。

また、ポスター作成費で最も安く請求した候補者は、「無投票とわかっていたので、税金のむだ使いをしたくないと思い、もっとも安いものを作成した」と説明しました。一方、同じ選挙区で限度額満額を請求した候補者は、「限度額まで使えるので、一番いい紙、一番いいインクを使用して最高のポスターを作った」ということです。

大きな問題となっている政務活動費と同様に、「もらえるものもらっておこう」という悪しき慣行が根深く浸透している証ではないでしょうか。ポスター代の水増し請求が表面化して問題となった岐阜県山県市では、市民から「税金のむだ遣い」との批判を受け、20073月に選挙公営を定めた条例を廃止しています。

当会の調べでは、ポスターは限度額の3分の1で作れることが分かりました。選挙管理委員会の限度額の設定に問題があると同時に、見積書、納品書、内訳明細書、売上台帳等の写しを義務付ける必要があるのではないでしょうか。

当会は、不正をなくし、税金のむだ使いを根絶するためにも、政務活動費と同様に平成274月執行の選挙に係る選挙公営についてもしっかりと追及していくことにしています。

【ポスター費用請求一覧表】

県議会--疑惑の政務活動費

 

号泣しながら言い訳をした元兵庫県議の会見で、その使途が注目を浴びることになった政務活動費。徳島県議会にも飛び火。当会の追及で、大きな炎として燃え上がり不透明な使い道で返還する議員が相次いだばかりでなく、児島勝、有持益生両県議が辞職するという県議会史上最悪の事態に発展した。なぜ、不正請求がまかり通っていたのか、徳島県議会の政務活動費の実態とチェック体制、再発防止策について考えてみた。

徳島県議会の政務活動費は、議員報酬・期末手当1258万円とは別に、1人当たり年間240万円が4月、7月、10月、1月の年4回に分けて前払いされる。つまり「先銭支給」である。支給を受けた議員は、毎年度の収支報告を翌年4月末までにまとめ、領収書の写しを添付して議長に提出しなければならない。使用は県議会のガイドラインで規制されており、その年度に残余があれば当然返還しなければならない。

ガイドラインに定められた使途項目は、国内外の視察、調査にかかる「調査研究費」、研修会や講演会の「研修費」、県政報告会の開催や広報誌の発行などの「広聴広報費」、国会議員等への要請・陳情活動の「要請陳情等活動費」、県政に関する会議に要する会場費や印刷代などの「会議費」、政務活動費に必要な資料を作成するために要する「資料作成費」、政務活動に必要な図書・資料購入の「資料購入費」、事務所の家賃や光熱費の「事務所費」、事務用品やコピー等のリース代の「事務費」、政務活動を補助する職員雇用の「人件費」となっている。後援会活動や選挙活動、個人的な経費、飲食が主目的の懇親会の経費などは認めていない。

県議会は、平成19年度に「議会のあり方検討委員会」を設置し、20年度に1円以上の支出には領収書(写しでも可)の添付を義務付けた。22年度には政務費を300万円から240万円に減額して全国一少なくした。身を切り裂く思いで透明性を高めたはずが、実際は不透明のままで改善はされていなかったことが今回の不祥事で明らかになった。

「領収書の写しでも可」としたところに、県議の心を揺さぶる<悪の巣>が潜んでいた。児島元県議は、領収書の写しを提出すればいいという制度を悪用し、過去にもらった領収書の金額や日付を改ざんして領収書をねつ造。平成21年度から25年度までの5年間で約710万円を不正に受け取っていた。有持元県議は、県政報告書の印刷を頼んだ印刷会社から白紙の領収書をもらい、実際の金額より上乗せした金額を自分で記入する方法で平成23年度から25年度の3年間で約168万円を返還した。

不正受給をした児島、有持元県議の行為は、自らの信用を落としただけでなく、県議会全体に疑いの目が向けられる事態を招き、信用を失墜させたことは言うまでもない。

もちろん議員のモラルが問われるのは間違いないが、チェックする議会事務局の意識と体制も問われるのではないか。事務局では、6人体制で毎年4月末までに議員から提出される前年度の収支報告書や領収書を2か月かけて、領収書を1枚ずつ見て使途や金額に不自然な点がないかチェックし、7月に公開している。

しかし、児島元県議の場合は、古い領収書の金額や日付を砂消しゴムで消してサインペンで上書きしており元の数字の一部も残っている。また、消費税の額が違っていたり、3万円以上の領収書に収入印紙を貼っていなかったりしたケースも少なくなかった。このような稚拙な偽造を「念入りにチェックをしている」という職員が、なぜ見抜けなかったのか。

さまざまな要因が考えられるが、一つは「議員は悪いことはしない」という性善説に基づいて調査していることではないか。さらに議員からの圧力などが考えられる。チェックする職員は、政務費は我々の税金であるということを念頭に置いてチェックしていたら、今回のような不祥事は起きなかったのではないだろうか。調査する職員には、小さな疑問も見逃さないという毅然とした態度が望まれる。今回の不祥事で議員と職員の「なれ合い体制」が浮き彫りになったことは間違いない。

今回の問題を受けて、森田正博議長は「信頼回復に全力で取り組むべく、議員及び事務局職員が一丸となって改革を実施する」と声明を発表した。声明で示したのは、使途の明確化、事務局のチェック体制の強化、ガイドラインを見直し、広報誌やレシートなどの現物添付を義務付けるなどである。また、全議員を対象に平成21年度から25年度間の政務費の再調査をして、不適切な点があれば返還請求するとした。また、事務局長をトップとする調査委員会を設け、担当職員との二重体制でチェックするとしている。しかし、悪の温床と思われる「先銭支給」は改善されていない。当会の調べでは会派支給制度を採用している兵庫県など2県以外は徳島県と同様「先銭」制度を採っている。本気で改善する気があれば、ガイドラインに明記されている「実費弁償」の原則を尊重して、全国初の実費を支払う「あと払い」方式を採用してもいいのではないか。当会の女性会員の一人は、支給された政務費について「使った後に辻褄合わせに四苦八苦し、不正領収書を作成するのではないか」「先銭支給がねつ造領収書を生んだ」と指摘する。

今回の不正受給問題で政務費は「第二の議員報酬」との批判がより一層高まり、県議会の信頼は失墜し、県民の議会を見る目は一層厳しくなったことは間違いないところ。今後、県議会は県民感覚に合った改革をどう進め、信頼をいかに回復するのか、本気度が問われる。当会としても今後、政務費については視線をそらすことなく、より一層監視を強めていく。

 

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